引越しでかなりの所有物をそぎ落としてきたはずなのに、
まだ部屋にはモノが多い。
ぼんやりと見ているとすべていらないものにも思えてくる。
異空間の中に放り出された気分でそこら中の物体が
お互いを追い出せ!と叫んでいる。
が、テレビの雑音の中、数分後にはどれも大切な宝物に変化する。
どれもこれも老舗の骨董品店の店頭に並べられている品のように
価値があり、お互いの貴重さを自慢しあっている。
ふと部屋の隅にあった、なぜか捨てられなかったゲームセンターで
獲得した目玉のおやじのぬいぐるみが叫ぶ。
「鬼太郎!今じゃ、今がチャンスじゃ!」
私は返事をする。
「そうですね。今がチャンスですね。
私は鬼太郎ではありませんが、分かりましたよ」